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越境ECで売れる商品とは、「日本でよく売れている商品」ではなく、「海外の消費者が自国で手に入らず、わざわざ日本から取り寄せてでも欲しいと思う商品」です。
越境ECは”出せば売れる”世界ではありません。成功例はむしろ少数です。その最大の原因は、「日本で売れているのだから海外でも売れるはずだ」という前提のまま商品を選んでしまうことにあります。
この記事を読むとわかること
- なぜ「日本で売れる商品=海外で売れる」とは限らないのか
- メイドインジャパンを過信してはいけない理由(買い手1,345人の本音データ)
- 越境ECで売れる商品を選ぶ5つの判断軸
- 「わざわざ日本から取り寄せる理由」をどうつくるか
- 商品選定でやりがちな「思い込み」パターンと脱出策
私たちJUTOUは累計150社超の越境EC・海外展開を支援し、自社でもインバウンドから越境事業を運営してきました。本記事は教科書的なリストではなく、「商品選定の段階で何を考えるか」という意思決定の哲学を整理したものです。
関連記事: 越境ECとは?仕組み・市場規模・始め方を解説/越境ECのメリット・デメリット・リスクを完全解説/越境EC成功事例|日本企業の再現できる5つの共通要因
越境ECは「出せば売れる」世界ではない
越境ECで成功する企業は多くありません。参入した企業の大半が「思ったより売れない」と口にします。最大の原因は商品選定の誤り——「日本で売れているのだから海外でも売れる」という思い込みのまま参入し、一過性の売上で終わるパターンが繰り返されています。
JUTOUに届く相談の中で、正直いちばん胃が痛いのがこのタイプです。「日本のAmazonでレビュー4.5のベストセラー商品を出したのに、海外では全然売れません」——この声を何度聞いたかわかりません。
1-1. なぜ越境ECの成功例は少ないのか
越境ECへの参入ハードルは年々下がっています。Shopifyを立ち上げて海外配送を設定すれば、技術的には翌日から世界中に売れる時代です。参入コストが下がることは良いことですが、同時に「調査も設計もなしに出品だけして結果を待つ」という参入が増えました。
問題は、「出品する」ことと「売れる」ことの間に横たわる大きな溝です。その溝を埋めるのが商品選定の哲学であり、この記事のテーマです。
一過性の売上に終わる企業の多くは、ライブコマースや特定のSNSバズで一時的に動いた後、リピートが続かず資金が溶けていきます。バズは「需要の発見」ではなく「需要の消費」に過ぎないことに、後になって気づくのです。
1-2. 「8割」が意味すること
本記事で「商品で勝負は8割決まる」という表現を使います。これは厳密な統計値ではありません。商品選定が成否の大部分を左右するという主張です。
越境ECは「出せば売れる」世界ではありません。成功例はむしろ少数です。だからこそ、誰に・何を・どの順で売るかを見極め、自社商品さえ一度「疑って」磨き込む——戦略的に取り組んだ人だけが結果を出せます。
物流・決済・広告の精度を高めても、商品そのものが市場にフィットしていなければ最後まで苦しみ続けます。選定の段階で間違えると、その後のすべての努力が掛け算の「0」になります。この構造的な事実が「8割」という言葉の意味です。
越境ECで何が売れているのか?
2025年の越境ECで購入が多いのはトレーディングカード・アニメグッズ・化粧品・自動車部品などです。ただしこれは”結論”ではなく”出発点”です。売れ筋カテゴリにいても、自社の商品が選ばれる保証はどこにもありません。
2-1. 2025年の売れ筋カテゴリ(最新動向)
BEENOSグループ「越境EC×ヒットランキング2025」によると、2025年の越境EC上位カテゴリは以下の通りです(出典:BEENOS公式発表)。
購入件数は1位:トレーディングカード、2位:おもちゃ・ホビー・グッズ、3位:アニメ・コミックグッズ。伸長率は1位がおもちゃ・ホビー・グッズ、2位がタレントグッズ、3位がトレーディングカードでした。その背景には「日本固有のIP(知的財産)」という希少性があります。世界中どこの消費者も、日本国内で流通しているトレカやアニメグッズは、現地では手に入らないか手に入っても価格が跳ね上がっています。
化粧品カテゴリは、「日本製プレミアム」という土台が少しずつ崩れつつあります。中国では「国潮(guócháo)」と呼ばれる中国国産ブランドが科学的訴求と低価格で急台頭しており、単純な日本製品訴求だけでは埋没するリスクが高まっています。
食品は旅アト消費(海外旅行後に越境ECで再購入する行動)の恩恵が大きい一方、物流・検疫の壁が最も高いカテゴリです。自動車部品(JDM市場)は、日本の車検制度が生む品質信頼を基盤に、米国のカスタム・DIY層、東南アジアの実用補修層、中東の高温対応需要という三方向に市場が広がっています。
売れ筋カテゴリの詳細な事例と参入パターンは、別記事「越境EC成功事例」で解説しています。
2-2. 「売れ筋にいる=売れる」ではない理由
ここで多くの記事は「この中から選びましょう」で終わります。本記事はその先を話します。
トレカが売れているからといって、手持ちのトレカが売れるわけではありません。化粧品が伸びているからといって、自社の化粧品が選ばれるわけではありません。カテゴリの人気と、自社商品への需要は別物です。この区別を曖昧にしたまま参入すると、「市場はあるのに自分だけ売れない」という状況に陥ります。
まず自社商品を一度「疑ってかかる」(選定の意思決定 ①)
海外で売れる商品を選ぶ第一歩は、自社商品の国内での評価を一度ゼロにすることです。「良いものだから売れる」という前提を捨て、現地の消費者にとって価値があるかを、まっさらな目で問い直します。

3-1. 「良いものだから売れる」という最も危険な前提
支援の初期に私たちが必ずお願いするのは、自社商品の「国内での勝因」を紙に書き出してもらうことです。「なぜ日本で売れているのか」を言語化してもらうと、ほとんどの場合、こんなリストが出てきます。
「品質が高い」「デザインが丁寧」「使い心地が良い」「日本人のレビューが多い」——。
これらは本当に国内での強みです。問題は、その強みの「理由」が日本という文化・生活環境に依存していないかを検証していないことです。良いものだから売れているのか、それとも、良いものに見えやすい文脈が日本国内に整っているのか。この違いは国境を越えると一気に表面化します。
3-2. 自社商品を疑う3つの問い
以下の3問に、データなしで直感だけで答えようとすると危険です。
問い①:国内での売れ行きの理由は、海外でも通用するか?
「料理好きな日本人向けに設計された調理器具」が、食文化が異なる国でも同じ価値を生むか。「日本の軟水に最適化された浄水器」が、硬水圏の米国で同じ性能を発揮するか。答えがNoであれば、商品の設計から問い直す必要があります。
実際にこんな例があります。ある浄水器メーカーが日本の軟水向けの性能訴求をそのまま英訳して米国市場に持ち込んだところ、現地の消費者から「なぜ米国の硬水に合わない製品を高額で買わなければならないのか」と不信を持たれ、CVRが急落しました。除去性能の定量データに訴求を切り替えて、ようやく改善できました(出典:w-class.jp)。
問い②:その価値は「翻訳」で伝わるか、文化的文脈に依存していないか?
日本の温泉水を使った美容液の「旅感」「湯の里から届く」というストーリーは、温泉文化のない国では何も伝わりません。価値のコアが「日本人にしかわからない感性」に乗っかっているなら、それは翻訳できない価値です。
問い③:現地に既に強い代替品・競合がいないか?
アパレルや日用品のカテゴリでは、日本のAmazonでベストセラーを取った商品を米国に出したところ、在庫の3分の2が不良在庫になったケースがあります。買ったのは在米中国人コミュニティが中心で、値下げ時のみ動く値下げ依存の構造に陥ったのです(出典:grooveinc.jp)。
3-3. 文化的文脈に依存した価値は国境で消える
バリューアクシス(価値評価の軸)は市場によって根本から違います。日本の消費者が使用感と包装に価値を見出す場面で、米国の消費者は臨床効果とコスト効率を問い、ドイツの消費者はサステナビリティと成分の透明性を確認します。「良い商品」の定義が、国ごとに別物なのです。
「売れるか」を売る前に確かめる(選定の意思決定 ②)
商品選定は直感ではなくデータで行います。現地の検索動向・競合商品のレビュー・価格帯を調べれば、参入前に「需要があるか」「勝ち目があるか」はかなりの精度で見えてきます。
4-1. 直感ではなくデータで決める
「経営者の勘でいける気がする」——この感覚を否定しているわけではありません。ただ、感覚を裏付けるデータを取るのに、今はそれほど時間もお金もかかりません。1週間で最低限の検証はできます。やるかやらないかの差が、後から大きく出ます。
BEENOS調査では、越境ECで海外から購入する消費者の最大の理由が「自国の店舗やECで販売していないから」(81.2%)です(BEENOSグループ、2024年11月調査、n=1,345)。裏を返せば、「現地にすでにある商品」には構造的な向かい風があります。この事実一つで、リサーチの方向性が定まります。
4-2. 選定段階でやる最小リサーチ4点
① Googleトレンドで現地カテゴリの検索推移を見る
対象国の言語で商品カテゴリを検索し、過去2〜3年の推移と地域別の分布を確認します。季節性があるか、上昇トレンドか下降か。無料で10分あれば確認できます。
② 現地モールで類似商品の売れ行きとレビュー数を見る
Amazon.com、eBay、Shopee、Lazadaなど対象市場のプラットフォームで類似商品を検索し、レビュー数・評価分布・価格帯・出品者の顔ぶれを確認します。レビューが1,000件を超えている商品がひしめいていれば、参入障壁は高くなります。逆にレビューが少なく、需要はあるのに供給が薄い領域なら、チャンスです。
③ 1つ星レビューに潜む「不満=機会」を読む
競合商品の1つ星レビューは、市場が抱える「まだ解決されていない不満」の宝庫です。「サイズが合わない」「説明書が英語しかない」「配送が遅い」——これらの不満を自社商品が解決できるなら、参入する理由になります。
④ 利益が出る価格で売れそうか、最低限の採算感を確かめる
現地モールの類似商品の価格帯と、自社が国際送料・関税・モール手数料を乗せた上で設定できる価格を比較します。「現地の競合より高くなるが、それでも買ってもらえる理由があるか」を問います。詳細な価格計算式と限界利益率の設計は、商品をつくり込むフェーズで扱うテーマです。
4-3. 「1つ星レビュー」は商品選定のヒントになる
意外に見落とされがちなのが、この視点です。多くの企業は「人気商品のレビュー数・評価平均」を見て「売れている→参入しよう」と判断しますが、1つ星レビューは「競合が満たせていないニーズ」を直接教えてくれます。
これは顧客調査にお金をかけなくても、今日から実行できる方法です。
「日本にしかない」を武器にする商品の選び方(選定の意思決定 ③)
越境ECで強いのは知名度の大きさより「希少性」です。市場が小さくてもライバルが少ないニッチ商品は、中小企業の越境ECと相性が良く、価格競争にも巻き込まれにくいのが特徴です。
5-1. 知名度より希少性
「有名ブランドでなければ海外では売れない」という思い込みも、よく聞く誤解です。確かに知名度は強力な武器ですが、中小企業が知名度で大企業と戦う必要はありません。
越境ECで中小企業が勝つための武器は「希少性」です。世界中どこを探しても日本からしか入手できない商品、現地では廃盤になった人気商品、日本国内の老舗が作り続けているニッチな逸品——これらは知名度がゼロでも、「自国で買えない」という一点で強い購買動機を作ります。
5-2. 中小企業はニッチで勝てる
ニッチ市場は規模こそ小さいものの、競合も少なくなります。大手が参入を見送る規模の市場で、価格競争なく安定した収益を得ている中小企業の越境ECは、JUTOUの支援先にも少なくありません。
少量多品種という日本の中小製造業の特性が、ここでは強みに転化します。大量生産できないからこそ「数量限定」になります。これが希少性の源泉です。
実例もあります。国内で売上規模のあるスキンケアブランドさまが中国市場に乗り出した際、当初は国内で最も売れている化粧水(主力商品)をそのまま展開しようとしていました。しかし現地ではブランド認知がなく、似たカテゴリーの競合もひしめくなかで苦戦します。そこでJUTOUは、自社が「売りたい」主力商品ではなく、海外ユーザーの反応が良く差別化しやすいニッチな部分ケア商品へ軸を移し、対象を2〜3商品に絞って集中投下しました。結果、ブランド認知がほぼゼロの状態から月商500万〜1,000万円以上を達成しています(効果は条件により変動します)。やはり「国内の売れ筋」と「海外で選ばれる商品」は、しばしば別物なのです。
5-3. 「向いている商品」の条件チェック
向いている商品には、いくつかの共通点があります。
- 希少性がある: 現地では手に入らない、または入手しにくい
- 正規品の安心を売れる: 偽物が出回っているカテゴリで「本物」であることが価値になる
- 体験・ストーリーがある: 産地・職人・歴史・製法が語れる(食品・伝統工芸・地域産品)
- 輸送・規制リスクが過大でない: 割れやすい・液体・食品・医療器具はリスク管理が別途必要
逆に向いていない商品の代表格は、現地に強力な国産代替品があるカテゴリの汎用品と、規制が複雑すぎる商品(医薬品・食品の一部など)です。
選んだ商品を海外向けにどう作り変えるか(ローカライズ・価格設定の実装)は、商品づくりの実務フェーズで扱うテーマです。
なぜ海外の人は「わざわざ日本から取り寄せる」のか?
海外の消費者が高い送料と時間をかけてまで日本から買う最大の理由は「自国で売っていないから」(81.2%)です。品質の高さは最低条件であり、選ばれる決め手は希少性・限定性・本物である安心感です。

6-1. 買い手1,345人の本音データ
BEENOSグループが2024年11月に実施した調査(Buyee利用者1,345人、英語圏728人・繁体字圏454人・韓国語圏163人を対象)が、この問いに正面から答えています(出典:BEENOSグループ『海外越境EC利用者調査 2024年版』、netshop.impress.co.jp掲載)。
| 購入理由 | 割合 |
|---|---|
| 自国の店舗・ECで販売していない | 81.2% |
| 正規品(本物)の保証があるから | 44.5% |
| 旅行後に越境ECで再購入(旅アト消費) | 44.0% |
| 限定品で流通数が少ないから | 41.0% |
| 廃番品・終売品だから | 40.6% |
※ BEENOSグループ「Buyee利用者海外EC購買動向調査」2024年11月実施、n=1,345(英語728・繁体字454・韓国語163)。
81.2%——この数字は何を意味するでしょうか。
「日本製品が海外で人気なのは、品質が高いからだ」と思われがちです。しかしデータはそう単純ではありません。海外消費者が日本から取り寄せる理由の第1位は、「品質が高いから」でも「日本製だから安心」でもなく、「自分の国では買えないから」です。
6-2. 品質は「入場券」、決め手は希少性と安心
この数字は、「メイドインジャパンだから売れる」という思い込みを正面から否定しています。品質は、入場券にすぎません。
「品質が高い」という事実は、購入の候補に入るための最低条件です。品質が低いものは選ばれません。しかし品質が高いことだけでは、選ばれる理由にはなりません。候補に入れてもらえるかどうか、というレベルの話です。
選ばれる決め手は、「ここにしかない」という希少性(81.2%・41.0%)、「本物を届けてもらえる」という正規品の安心感(44.5%)、そして旅行中に体験した商品をもう一度手に入れたいというリピート動機(44.0%)です。
同じ店から2回以上購入している消費者は77.6%、月1回以上購入している消費者は46.2%にのぼります(いずれも前掲BEENOS調査)。一度「ここでしか買えない」「本物だ」と信頼した体験は、強いリピートにつながります。
6-3. 「わざわざ取り寄せる理由」をどうつくるか
この調査から、越境EC商品選定の核心が見えてきます。
① 自国で買えない状態を意図的に活かす
現地に正規代理店や現地法人がない状態で、越境ECだけを窓口にすることは「希少性の設計」です。誰でも買える状態にしすぎると、越境ECを選ぶ理由が薄れます。
② 限定品・正規品の安心を設計する
「公式から買える」「本物保証」という信頼シグナルを商品ページ・ストア設計に組み込む。偽物が出回るカテゴリほど、正規品であることの証明が購買理由になります。
③ インバウンド(旅アト消費)と接続する
旅アト消費(44.0%)は、日本国内でのブランド体験を海外購買に転換する経路です。インバウンド対応と越境ECを連動させることで、「旅先で出会った商品を自国でも継続購入する」という持続的な需要を生みます。具体的な実装は、インバウンドと越境ECを連動させる設計の中で扱います。
商品選定でやりがちな「思い込み」パターン
商品選定の失敗は、いくつかの「思い込み」に集約されます。「日本製なら売れる」「富裕層に高く売ればいい」「良いものだから時間をかければ売れる」——いずれも現地データを見ずに、国内の常識をそのまま持ち込んだ結果です。
7-1. 「日本製なら売れる」
「メイドインジャパン」のブランド価値は、特定のカテゴリ(自動車部品・精密機器・化粧品の一部)では今も有効です。しかし万能ではありません。
前述の通り、化粧品は中国国産ブランドの台頭、食品は規制と物流の壁、日用品は現地の強い国産代替品との競合——「日本製」という原産国ラベルだけで戦える市場は、年々狭まっています。バリューアクシス(何に価値を見出すか)は国ごとに異なります。
JUTOUが支援した、木材に藍染を施すハンドメイドメーカーさまの例があります。当初は「藍染木製コップ」として販売していましたが、高単価ゆえに海外ECでは衝動買いにつながらず、自社ECの売上はゼロでした。そこで商品自体は変えずに、日本酒・日本食への関心が高い北米層へ向けて「SAKE CUP(日本酒を楽しむ酒器ギフト)」として意味づけを再定義し、手仕事・藍染・希少性のストーリーを言語化しました。ギフトパッケージを整えた結果、プロモーション開始から3ヶ月で、酒器関連だけで月商50万〜100万円の売上をつくれるようになりました(効果は条件により変動します)。商品を変えたのではなく、「何として売るか」を海外の文脈に合わせて変えた——これが、原産国ラベルを超えて選ばれる商品設計の具体例です。
7-2. 「富裕層に高く売ればいい」
「品質が高いのだから、価格を高く設定して富裕層に売ればいい」という発想も、よく聞きます。しかしこれは「価格の高さ」と「購買層へのリーチ」という2つの問題を混同しています。
富裕層に届けるには、彼らが信頼するチャネル・メディア・インフルエンサーを通じたリーチが必要です。ただ価格を上げてAmazonに出品するだけでは、富裕層には届きません。高単価戦略は間違いではありませんが、それを機能させるための販路設計・ブランディングが先です。
また「適正価格」の判断も、現地の競合価格帯と購買者の可処分所得を組み合わせた現地データで行うべきです。
7-3. 「良いものだから、いずれ売れる」
「良い商品は必ず評価される」という信念は、長期視点として正しい場合もあります。しかし越境ECのコンテキストでは、この信念が「調査不足のまま待ち続ける」免罪符になりがちです。
現地に届けなければ評価されません。届けた先で「なぜこれを買うべきか」が伝わらなければ、やはり評価されません。良い商品であることと、売れるための設計ができていることは、まったく別の話です。
結局のところ、これらの思い込みに共通するのは「現地データを見ずに、国内の常識のまま判断している」ことです。自社商品を一度疑い、現地の事実から組み立て直す——その一手間が、結果を出す企業とそうでない企業を分けます。
失敗の全類型(「日本製なら売れる」「富裕層に高く売る」「半年で諦める」「代行に丸投げ」)は「越境ECのよくある失敗・勘違い4選」で総括しています。
まとめ:商品選定は「自社を疑う」ことから始まる
越境ECで売れる商品を選ぶとは、売れ筋リストから選ぶ作業ではなく、自社商品を一度疑い、現地データで価値を問い直す意思決定です。この最初の判断が、その後の成否の大部分を決めます。
本記事の要点を3つに整理します。
① 自社商品を一度「疑う」: 国内での売れ行きの理由が海外でも通用するかを、文化的文脈の違いも含めてゼロから問い直すことです。
② データで「確かめる」: Googleトレンド・現地モール・1つ星レビューの最小リサーチで、参入前に「需要があるか・勝ち目があるか」を検証することです。
③ 「わざわざ取り寄せる理由」をつくる: 品質は入場券にすぎません。希少性・正規品の安心・旅アト消費との連動を設計することで、選ばれる理由を作り込むことです。
越境ECは「出せば売れる」世界ではありません。成功例はむしろ少数です。だからこそ、誰に・何を・どの順で売るかを見極め、自社商品さえ一度「疑って」磨き込む——戦略的に取り組んだ人だけが結果を出せます。
JUTOUが提供できること
JUTOUは累計150社超の越境EC・海外展開支援を通じて、この「商品選定の段階」から一緒に考えることが最も成果につながると感じてきました。
JUTOUの3つの強み
- 多業種150社の支援実績: 化粧品・食品・自動車部品・伝統工芸・アパレル・製造業と、多くのカテゴリで商品選定から支援してきた知見があります。
- 自社実践のリアルな知見: JUTOUは自社でもインバウンドと越境ECを実際に運営してきた経験があります。教科書の話ではなく、現場で試した話ができます。
- 自走化まで伴走: 代行して終わりではなく、御社の担当者が自走できる状態まで、設計・実行・改善のすべてをサポートします。
「自社の商品は越境ECに向いているのか?どの市場から始めるべきか?」 商品選定の段階からご一緒する価値があります。150社の支援実績をもとに、御社の商材・市場・予算に合わせた現実的な初期プランをお伝えします。
30分の無料相談で確認できること
- 自社商品の海外需要の初期仮説(カテゴリ別の傾向ベース)
- 最初に参入すべき市場の優先度
- 商品選定の判断軸に対する現場フィードバック
よくある質問(FAQ)
Q1. 越境ECで何が売れるの?
2025年のBEENOSランキングでは、トレーディングカード・ホビーグッズ・アニメ関連が上位を占めています。ただしこれは出発点です。「売れ筋カテゴリにいること」と「自社商品が選ばれること」は別問題で、本記事ではその選定の判断軸を詳しく解説しています。
Q2. 日本で売れている商品は、海外でも売れますか?
必ずしも売れません。「日本で評価されている理由」が海外でも通用するかを、文化的文脈の違いも含めて検証する必要があります。日本の軟水に最適化された浄水器が米国で不評になった事例のように、国内の強みが海外では弱みに転じることがあります。
Q3. メイドインジャパンなら売れるのでは?
品質の高さは購買候補に入る「入場券」です。選ばれる決め手ではありません。BEENOSの1,345人調査では、海外消費者の購入理由1位は「自国で買えないから」(81.2%)で、「日本製だから」という原産国への言及は上位に入っていません。希少性・正規品の安心・旅アト消費との連動が差別化の本質です。
Q4. 越境ECの商品はどうやって選べばいいですか?
「自社商品を疑う3つの問い」から始めます。①国内での売れ行きの理由は海外でも通用するか、②その価値は翻訳で伝わるか・文化的文脈に依存していないか、③現地に強い代替品がないか——の3点を検証した上で、Googleトレンドと現地モールのリサーチで需要を確かめます。
Q5. ニッチな商品でも越境ECで売れますか?
向いています。大手が参入しない規模の市場で、ライバルが少なく価格競争を回避できるニッチ商品は、中小企業の越境ECと特に相性が良いです。「数量限定」や「職人手工芸」という特性が希少性に転化するケースは少なくありません。
Q6. 自社商品が海外で売れるか、事前に確かめる方法はありますか?
①Googleトレンドで現地カテゴリの検索推移を見る、②現地モール(Amazon.com・Shopeeなど)で類似商品のレビュー数と価格帯を確認する、③競合の1つ星レビューから「解決されていない不満」を読む、④利益が出る価格で戦えるか採算感を確かめる——この最小リサーチ4点から始めることを推奨します。
Q7. 越境ECで失敗する商品選びの典型は?
「日本製なら売れる」「富裕層に高く売ればいい」「良いものだから時間をかければ売れる」の3つが代表的な思い込みです。共通点は、現地データを見ずに国内の常識で判断していること。商品選定は感覚ではなくデータで行うことが鉄則です。