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越境EC担当1年目が最初の90日で読むべき本は5冊、触るべきツールは10個です。 本記事では、150社以上の海外展開支援を通じて私自身が繰り返し使い続けている書籍と、今すぐ無料で使えるリサーチツールを厳選してご紹介します。さらに「読む順・使う順」を組み合わせた90日ロードマップで、担当者として自走できるまでの最短ルートをお伝えします。
- 越境ECで売上を上げたい
- 越境ECを始めたいが、何から始めたらいいかわからない
- 越境EC担当になったばかりで、最初の90日で何をやるべきか地図が欲しい
- 生成AIとツールを組み合わせて、リサーチを10倍速にしたい
という方には、ぜひ読んでいただきたいテーマとなっています。
最近、越境EC参入についてのご相談が明らかに増えてきています。訪日客が4,000万人を超えて(出典:日本政府観光局 JNTO「2025年訪日外客数統計」)インバウンドが回復し、国内BtoC-EC市場規模も26.1兆円・前年比+5.1%(出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」2025年8月公表)まで拡大するなかで、「海外の人にもうちの商品が届けられるのでは?」と気づいた経営者さまが、「やばい!始めなきゃ!」と急いで検討を始めるケースも本当に多いです。
数字で見るとインパクトはさらに鮮明です。同調査によれば、2024年の中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆6,372億円(前年比+8.5%)、日本から米国への越境EC販売額は1兆5,978億円。日米中3か国間の越境ECは全方向で増加しており、「日本に来た人が帰国後にリピート購入する導線」が現実に動いていることを、国の統計が裏づけています。
しかし、いくらグローバル化・デジタル化が進み、越境ECが簡単に始められる時代になったとしても、やはり「海外に向けて売る」というのは至難の技です。「出店する」=「売れる」ではないこと、失敗する確率を極力下げるために、事前の準備、そして調査分析をしていただく必要があることを認識いただく必要があります。
越境ECの基礎から市場選定・出店方法まで体系的に学びたい方は、まず「越境ECの始め方完全ガイド」も参照してください。本記事では、その前段として「何を読み、何を使えばいいか」に絞ってお伝えします。
【定番】越境EC入門書の土台となる2冊
越境EC入門の土台は2冊で十分です。 佐藤亘氏の『攻略ガイドブック』で全体像を把握し、橋谷亮治氏の『タオバオで稼ぐ!』で中国ECプラットフォームの構造を理解する。この2冊を読めば、越境EC担当者として最低限必要な「枠組み」が整います。
1.『越境EC&海外販売 攻略ガイドブック』
著者:佐藤 亘 氏
越境ECとは何か?海外WEBマーケティングは何をどうすべきか?が網羅的に書かれている実務書です。越境ECに取り組むうえで、何を準備すべきか、何に注意すべきかが細かく書かれており、この1冊で越境ECや海外向けのWEBマーケティングの大枠を理解できます。網羅性という点ではこの本の右に出るものはなく、全体の”枠組み”をこの本で押さえたうえで、最新動向は後述の『打ち手大全』や最新刊で補完していくのがおすすめです。
📘 使い方:越境ECの全体像を掴む"地図"として
2.『タオバオで稼ぐ! 初心者から始める中国輸出の教科書』
著者:橋谷 亮治 氏
中国、特にタオバオへの出店に関するイロハが書かれている専門書です。中国No.1のCtoC ECプラットフォームであるタオバオの出店から運営方法まで丁寧に解説されており、アリペイアカウントの作り方・出店方法・プラットフォーム内の機能説明まで細かく記述されています。ただし、以下2点に注意してください。①中国はスピードが鬼のように早いので、出版当時より情報が古い部分がある。②日系メーカーの多くはBtoCのTmall(天猫)に出店しており、タオバオ個人店舗アカウントで勝負する企業は減っている。そのため、この本は「タオバオの教科書」として読むよりも、「中国ECプラットフォームの構造を理解する入口」として活用するのがおすすめです。
中国EC市場の最新状況(2026年版)については、「中国越境ECの始め方完全ガイド」でTmall・抖音・小紅書の現状を詳しく解説しています。
📘 使い方:中国EC構造の理解のために
【最新刊】2024〜2025年に出版された必読の3冊
最新刊3冊は「辞書」「データブック」「プロジェクト指南書」として役割が分かれています。 課題に応じて使い分けるのがコツです。定番2冊で土台を固めたうえで、この3冊を手元に置くと、越境EC担当者としての実力が段違いに上がります。
3.『越境EC&海外Webマーケティング”打ち手”大全 — 最強の戦略91』
著者:徳田祐希/中村岳人/森田尚志 出版:インプレス/2025年4月刊
2025年最新の実務書の決定版です。Shopify・Amazonグローバル・Kickstarter(海外クラウドファンディング)・海外SNSまでを横断的に扱い、打ち手が91個に分類されています。自社の課題に応じて引ける辞書的な使い方ができるので、担当者の手元に常備しておきたい一冊。特に、インバウンドから海外展開に接続する章は、訪日客完全回復後の日本企業の現状にぴったりフィット。「インバウンドで接点を作り、越境ECでLTVを伸ばす」という2026年の王道パターンが丁寧に解説されています。
📘 使い方:辞書として引く。問題にぶつかったら91の打ち手から該当章を読む
4.『海外ECハンドブック2024』
著者:トランスコスモス編 出版:インプレス/2024年刊
30カ国のEC市場データを網羅したデータブックです。参入候補国の当たりをつけるときに、まずこの本でマクロ指標(市場規模・成長率・主要プラットフォーム・決済手段・物流事情)を押さえ、そのあとGoogle Trendsや生成AIのディープリサーチなどの活用で需要を確認するという流れが鉄板になります。経営層への提案資料を作るときも、この本の数値を引用できるので、説得力の裏付け書として非常に重宝します。なお、本書のデータは経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(毎年8月公表)とJETROの越境EC調査レポートで最新版にアップデートしてください。
📘 使い方:市場選定の一次資料として。経産省/JETROの最新値で必ず上書きする
5.『はじめての越境EC・海外Webマーケティング』
著者:徳田祐希 出版:WAVE出版
越境EC担当1年目に真っ先に推したい入門書です。著者は海外Webマーケティング歴15年、300社以上の海外進出を支援してきた実務家。その知見をベースに、プロジェクトの進め方という「目次以前」の部分が丁寧に書かれています。「何から手を付けていいかわからない」というまさに一番のつまずきポイントを解決してくれる一冊で、組織の中で越境ECを立ち上げる立場の方にも最適です。
📘 使い方:最初の1冊として。1週間で通読し、全体像を掴む
書籍だけでは足りない — 初心者が最初に触るべき10ツール
本を読むだけでは越境ECの勘所は絶対に掴めません。 ツールを触り、数字のズレを見て初めて感覚が身につきます。以下は、私が担当者1年目の方に「まずこれを触ってください」と必ず薦めているツール群です。無料で始められるものから順に並べました。
▼ 無料で始められる4ツール
① Google Trends(グーグル・トレンド):キーワードの国別・時系列の検索需要を可視化できる無料ツール。「matcha」「ramen」「skincare」といった商材ワードを国別に比較するだけで、参入優先順位の議論が始められます。越境EC担当1年目が最初に触るべきNo.1ツール。
② Google Market Finder(マーケット・ファインダー):自社サイトのURLを入力するだけで、有望市場のランキングがGoogle自身から提示されるツール。Google公式なので、経営層への提案資料の一次ソースとして非常に使いやすい。
③ Google Retail Trends:各国で検索数が急上昇している商品カテゴリを確認できるGoogle提供ツール。日本から出たことのない商材でも、世界で何が伸びているかが見えるので、発想の壁を崩してくれます。
④ Amazon各国ランキング:商品の一次情報の宝庫。数字は嘘をつきません。候補国のAmazonランキングを毎週眺めるだけで、肌感覚が鍛えられます。
▼ 現地プラットフォーム観察用
⑤ Shopee/Lazada/楽天海外市場:東南アジアの購買行動を直接観察できる無料の学習場所。ログインしなくても商品ページ・レビュー・価格帯・販売数が見えます。
▼ 一歩踏み込むための調査ツール
⑥ セラースプライト:Amazon中国系を含む市場データの深掘り用。有料ですが、本気で参入するなら必須。
⑦ Keepa:Amazon商品の価格推移・ランキング推移を追える定番ツール。競合分析で重宝します。
⑧ Ahrefs:キーワードボリューム、競合ドメインの被リンク、流入ページを定量で把握。越境ECのSEOでは必須クラス。JUTOUでも全案件で活用しています。
▼ トレンド検知
⑨ Exploding Topics:新興トレンドを早期に検知できる無料/有料ツール。越境ECの「今は無名だが来年バズる商材」を見つけるために有効。
▼ 新定番 — AIディープリサーチ
⑩ Perplexity Pro/Genspark/ChatGPT Deep Research/Gemini Deep Research:越境EC担当にとっての最大の武器です。同じ問いを複数のAIに投げて結果を比較するのが、リサーチの標準作法になりつつあります。例えば「ドイツで抹茶関連商品を販売している上位競合5社と、それぞれの価格帯・主力SKU・SNS運用状況」という質問を同時に投げると、それぞれ異なる角度の回答が返ってきます。それらを統合し、一次ソース(Amazon.de・競合公式サイト・Ahrefs)で裏取りすれば、従来の1週間分の調査が半日で終わります。ただし、AIの出力を裏取りなしで提案書に書くのは絶対にNGです。
読む順&使う順 — 越境EC担当の「90日ロードマップ」
書籍5冊とツール10個を「いつ・どの順で使うか」が成長速度を決めます。 1〜30日目は全体像の把握と市場の絞り込み、31〜60日目は打ち手の選定と商材仮説立案、61〜90日目は社内提案からテスト販売計画の完成まで——この流れで動けば、最初の90日で自走できる担当者になれます。
1〜30日目:全体像を掴み、市場を3つに絞る
読む:『はじめての越境EC・海外Webマーケティング』(徳田祐希)を1週間で通読/『越境EC&海外販売 攻略ガイドブック』(佐藤亘)で網羅的な枠組みを押さえる
触る:Google Trends で主力商材のキーワードを5〜10カ国で比較/Google Market Finder に自社サイトURLを入力し、有望市場ランキングを取得/AIディープリサーチで候補3市場の競合5社をリストアップ
アウトプット:候補市場3つに絞り込んだ1枚サマリー
31〜60日目:打ち手を選定し、商材仮説を立てる
読む:『越境EC&海外Webマーケティング”打ち手”大全』で候補市場ごとの打ち手を選定/中国市場を狙うなら『タオバオで稼ぐ!』でCtoC構造の基礎を、別途Tmall/抖音/小紅書の最新記事で補完
触る:Ahrefs で現地語キーワードの検索Volと競合DRを定量化/Amazon/Shopee/Lazadaランキングで商品仮説を立てる/セラースプライト/Keepaで競合価格と販売数を推定
アウトプット:候補市場3つそれぞれの打ち手マップ(プラットフォーム・価格・ターゲット・競合)
61〜90日目:社内提案→テスト販売計画に落とす
読む:『海外ECハンドブック2024』で物流・決済・法規のハマりどころを潰す
触る:テスト販売の計画(予算・SKU・チャネル・KPI・撤退基準)を作る/社内提案→決裁→テスト販売開始
アウトプット:テスト販売計画書+社内決裁
この90日ロードマップをこなせば、「越境ECってなに?」から「自分なりの仮説を持って動ける越境EC事業担当者」に変わります。
90日ロードマップの各ステップで詰まったら、JUTOUにご相談ください。市場選定・商材仮説・社内提案書の作成まで伴走します。→ JUTOU株式会社お問い合わせフォーム
外注任せではなく、自社のマーケティングレベルを上げよう
越境ECで勝ち続ける会社は、「データ」「AI活用」「現地感覚」の3レイヤーを自社に蓄積しています。 外注先に丸投げしていると、この3つが一切社内に残りません。自社の売上が落ちたときに、完全に打つ手がなくなるのです。
ここが本記事で一番お伝えしたい核心メッセージです。海外越境EC市場は、めまぐるしく情報・チャネル・ノウハウがアップデートされていくため、これから始められる方は上記の本で大枠を掴みながら、最新情報を自分の手でキャッチアップしていく必要があります。外注任せにしてアップデートを怠ると、いつまで経っても自社にノウハウがたまらず、マーケティングレベルも上がりません。自社の売上が下がったときに、完全に打つ手がなくなるのは非常に危険です。
そして2026年の今、この「自社に溜めるべきもの」は3つのレイヤーに広がっています。
① データの自社蓄積:GA4・Search Console・Ahrefs・現地モールのダッシュボードを自分のPCで見る習慣をつけてください。代理店レポートだけでは、数字が丸められて渡ってくるので判断を誤ります。経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(毎年8月公表)とJETROの市場別調査レポートも、自社で年1回はダウンロードしてフォルダに保存しましょう。
② AI活用スキルの自社蓄積:生成AIによるリサーチ・翻訳・コピー生成を自社メンバーが手を動かして学ぶ。外注先にAIを使わせているだけでは、自社にノウハウが溜まりません。現代のマーケティング力は「AIの使いこなし力」とほぼ同義になりつつあります。
③ 現地の”肌感覚”の自社蓄積:SNS・レビュー・KOL動画を自分の目で毎週見る。翻訳してもらったサマリーだけでは、空気感までは届きません。
このデータ・AI・現地感覚の3つを外注に丸投げしていると、打つ手がなくなる。逆に、勝ち続ける会社は必ずこの3レイヤーを自社に持っています。越境ECは、始めるのは簡単。でも、勝ち続けるのは極めて難しいのです。
よくある失敗2つ — ここで転ぶ人が本当に多い
150社以上の支援現場で見てきた越境EC担当者1年目の失敗は、「読んで満足」と「AI数字の無検証使用」の2つに集約されます。
失敗① 本を読んだだけで満足する
これが最大の落とし穴です。今回ご紹介した書籍を全部読んでも、ツールを触らず、手を動かさなければ0点です。本で学んだフレームをツールで叩き、数字のズレを見て初めて勘所が掴めます。読んだらその日のうちにGoogle Trendsを開く、AIディープリサーチに質問を投げる、Amazonの現地ランキングを見に行く。行動までの時間が短い人ほど伸びます。
失敗② AIが出した数字をそのまま社内提案に使う
Perplexity や ChatGPT Deep Research は便利ですが、平然と古いデータや誤情報を混ぜて返してきます。これを裏取りせずに提案書に貼ると、経営層の前で「このデータ、数年前のものですけど」と突っ込まれて信頼を失います。必ず一次ソース(政府統計・Ahrefs・現地ECサイト・書籍の参照データ)で裏取りをしてから資料化してください。AIは「調査の入口」であって「調査の出口」ではありません。
FAQ(よくある質問)
Q1. 越境EC担当になったばかりです。書籍全部読む必要がありますか?
最初の90日で読むべきは3冊です。『はじめての越境EC・海外Webマーケティング』『越境EC&海外販売 攻略ガイドブック』『”打ち手”大全』の3冊を通読し、残り2冊は状況に応じて辞書的に引いてください。
Q2. 中国市場を狙っていないのですが、中国関連の本も読むべきですか?
中国市場を狙わないなら必須ではありません。ただし中国ECの構造はTikTok Shopや他のアジア市場の理解にも役立つため、中長期的には目を通しておくと視野が広がります。
Q3. 無料ツールだけで越境ECを始められますか?
市場調査・商材仮説立案の段階は、Google Trends・Market Finder・Amazon各国ランキング・AIディープリサーチで十分対応できます。出店・集客フェーズに入るとAhrefsやセラースプライト等の有料ツールが必要です。
Q4. AIディープリサーチはどれから使うべきですか?
無料枠で試すならPerplexity、深く掘るならChatGPT Deep Research(Plus以上)かGemini Deep Research(Google One AI Premium)、仮説検証の速さで選ぶならGenspark。3つ同時活用とファクトチェックが理想です。
Q5. 定番の2冊は今でも買う価値がありますか?
買う価値はあります。ただし「本で枠組みを学び、最新情報はWeb記事・AI・最新刊で補う」読み方を前提にしてください。佐藤亘氏の本は網羅性、橋谷氏の本は中国EC構造の理解で今も有効です。
Q6. 中小企業が無料で使える越境EC支援はありますか?
JETROの「新規輸出1万者支援プログラム」と「越境EC支援事業パートナー」は中小企業の最初の一歩に有効です。13か国・地域以上のプラットフォーム連携と、Japan Mall(食品・化粧品・日用品の海外バイヤー紹介)が活用できます。
まとめ — 90日後に別人になっているために
越境EC担当者に必要なのは、“本だけ”でもなく、”AIだけ”でもなく、”組み合わせて手を動かす習慣”です。書籍で体系的な知識を入れ、ツールで定量的なデータを取り、90日ロードマップで手を動かす。これを3ヶ月続ければ、今の自分と別人になれます。越境ECは、始めるのは簡単ですが、勝ち続けるのは極めて難しい。だからこそ、最初の90日で身につける”型”が、その後の数年を決めます。
本日はここまでです。ご質問などありましたら、遠慮なくご連絡ください。
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執筆者:辻 雄多郎(JUTOU株式会社 代表取締役)
東京都八王子市出身。中央大学法学部卒業後、国内独立系コンサルティングファームに新卒入社。入社1年目より日本企業の中国・東南アジア進出サポートに従事。JUTOU株式会社を設立し、中国・東南アジア現地の日本企業・ローカル系企業のコンサルティング、EC業績拡大、WEBマーケティングサポートを専門として実績・ノウハウを積み上げる。中小企業から1,000億円以上の大企業、消費財から工業製品まで、累計150社以上のサポート実績を持つ越境EC・インバウンドのスペシャリスト。中国・東南アジア圏専門コンサルティング実務歴10年以上。