概要
中国市場に進出している日系企業の多くは、既存の日系顧客との取引を中心に事業を展開しています。
しかし、市場全体を見れば、中国ローカル企業の需要は大きく、今後の事業拡大においてはローカル市場の開拓が欠かせません。
本事例の企業様は、顧客比率の90%以上を日系企業が占めており、特定の顧客層に依存した事業構造が課題となっていました。
さらなる成長を目指すうえで、中国ローカル企業への販路拡大が重要なテーマとなっていたものの、社内にはローカル市場に関する情報や、新規開拓のための営業・集客体制が十分に整っていませんでした。
そこで、市場・競合調査からWEB広告を活用したリード獲得、さらに営業体制の構築までを一貫して支援。
その結果、年間120万円のWEB広告費で、中国ローカル企業から年間150件以上の新規リード獲得を実現しました。
支援前の課題
1. 顧客の90%以上が日系企業に集中していた
同社はこれまで、中国に進出している日系企業向けのビジネスを中心に成長してきました。
既存顧客との関係性は強く、安定した取引基盤を持っていた一方で、売上の大部分が日系企業に依存している状態でした。
このような顧客構造は、短期的には安定しているように見えます。
しかし、中長期的に見ると、日系企業の投資動向や中国国内での事業縮小・撤退などの影響を受けやすく、事業成長の上限が見えやすいというリスクがあります。
そのため、さらなる成長を目指すうえでは、中国ローカル企業への販路拡大が避けて通れないテーマとなっていました。
2. 中国ローカル市場の実態が把握できていなかった
中国ローカル企業にアプローチする必要性は認識していたものの、実際には以下のような情報が不足していました。
- どのような企業がターゲットになり得るのか
- 中国ローカル企業がどのような課題を抱えているのか
- 競合となる中国企業・外資系企業はどこなのか
- 価格帯や提案内容は日系企業向けとどう変えるべきか
- どのチャネルで接点を作るべきか
特にBtoBの生産設備エンジニアリング領域では、ターゲット企業のニーズが表面化しづらく、単純な業種リストや企業リストだけでは有効な見込み客を見つけることが困難でした。
3. 商材が専門的で、見込み客の特定が難しかった
同社が提供しているのは、単体の部品や汎用品ではなく、設備全体に関わるエンジニアリングサービスです。
そのため、購入検討までのプロセスが長く、意思決定者も複数に分かれる傾向があります。
また、ニーズが発生するタイミングも限定的であり、すぐに案件化する企業を見つけることは簡単ではありません。
このような高単価・専門性の高いBtoB商材では、単に問い合わせを増やすだけでなく、将来的な案件化につながる見込み客を継続的に獲得し、営業活動につなげていく仕組みが必要でした。
4. 新規開拓のための営業・集客体制がなかった
支援前の営業活動は、既存顧客へのルート営業が中心でした。
既に関係性のある顧客に対して追加提案や継続フォローを行う営業はできていたものの、新規の中国ローカル企業を開拓するためのノウハウや仕組みは十分に整っていませんでした。
具体的には、以下のような課題がありました。
- 新規見込み客を獲得するためのWEB集客手段がない
- 問い合わせ後の営業対応フローが整備されていない
- 中国ローカル企業向けの提案方法が明確でない
- 営業担当者が新規案件対応に慣れていない
- 社内に新規開拓を継続する文化が定着していない
つまり、課題は単なる広告運用だけではなく、「新規顧客を獲得し、商談につなげ、継続的に案件化していく営業基盤そのものを作ること」にありました。
支援内容
1. 市場・競合調査による戦略設計
まず、中国ローカル市場におけるターゲット企業の整理と、競合環境の把握から着手しました。
日系企業向けの営業では通用していた訴求が、中国ローカル企業にもそのまま響くとは限りません。
そのため、現地市場における競合サービスや価格感、顧客の検討ポイントを整理し、どのような切り口でアプローチすべきかを明確化しました。
特に重視したのは、単なる企業規模や業種だけでターゲットを決めるのではなく、設備投資の可能性がある企業や、既存設備に課題を抱えている可能性のある企業に対して、どのようなメッセージを届けるべきかという点です。
これにより、広告配信や問い合わせ導線の設計において、より具体的なターゲット像を反映できるようにしました。
2. WEB広告を活用した新規リード獲得施策
次に、中国ローカル企業との接点を作るため、WEB広告を活用したプロモーションを実施しました。
従来の営業手法では、営業担当者が直接企業を訪問したり、既存の紹介ネットワークを活用したりする必要がありました。
しかし、それだけでは接点を持てる企業数に限界があります。
WEB広告を活用することで、これまで営業担当者が接点を持てなかった中国ローカル企業にもアプローチできるようになりました。
広告施策では、単純にサービス名を訴求するのではなく、ターゲット企業が抱える課題や検討段階に合わせて、関心を引き出すメッセージを設計しました。
問い合わせにつながりやすい導線を整備し、限られた広告費の中でも効率的にリードを獲得できるよう改善を重ねました。
3. リード獲得後の営業対応フローを整備
BtoBマーケティングでは、リードを獲得しただけでは成果とは言えません。
特に設備エンジニアリングのような専門性の高い商材では、問い合わせ直後にすぐ契約へ進むケースばかりではなく、初回接点から時間をかけて関係構築を行う必要があります。
そのため、獲得したリードを営業担当者が適切にフォローできるよう、営業対応の流れを整備しました。
具体的には、問い合わせ内容に応じた初回対応、ヒアリング項目の整理、見込み度合いの判断、商談化までのステップ設計などを支援しました。
これにより、これまでルート営業が中心だった営業担当者でも、新規案件に対して一定の品質で対応できる体制を構築しました。
4. 新規開拓に対応できる営業組織づくり
今回の支援では、広告運用やリード獲得だけでなく、社内に新規開拓の考え方を定着させることも重視しました。
中国ローカル企業との商談では、日系企業向け営業とは異なる質問や価格交渉、意思決定プロセスが発生します。
そのため、営業担当者が実際のリード対応を通じて市場理解を深め、徐々に新規営業の型を身につけていけるようサポートしました。
結果として、単発の広告施策ではなく、社内に新規案件獲得の仕組みが残る形で営業体制をアップデートすることができました。
成果
1. 年間120万円の広告費で150件以上の新規リードを獲得
年間のWEB広告費は120万円と、BtoB領域の新規開拓施策としては限られた予算でした。
それでも、年間150件以上の新規リードを獲得することに成功しました。
単純計算では、1件あたり約8,000円の広告費でリードを獲得できたことになります。
高単価かつ専門性の高い生産設備エンジニアリング領域において、中国ローカル企業から継続的にリードを獲得できたことは、今後の営業資産としても大きな意味を持ちました。
2. 中国ローカル企業のニーズや価格感を把握できるようになった
支援前は、中国ローカル市場の実態が社内で十分に把握できていませんでした。
しかし、WEB広告を通じて獲得したリードと実際に対話することで、具体的なニーズや検討条件、価格感が徐々に明確になっていきました。
これは、単なる問い合わせ獲得以上に重要な成果です。
実際の見込み客との接点が増えることで、社内に市場情報が蓄積され、今後のサービス設計や営業資料、提案内容の改善にもつながる状態を作ることができました。
3. ルート営業依存から、新規案件を獲得できる組織へ変化
今回の支援を通じて、営業部門全体の意識にも変化が生まれました。
これまでは既存顧客へのルート営業が中心でしたが、WEB経由で新規リードが継続的に入ってくることで、営業担当者が新規案件に対応する機会が増加しました。
その結果、新規顧客に対するヒアリングや提案、案件化までの流れが社内に定着していきました。
最終的には、外部支援に依存するだけでなく、自社内でも新規案件獲得に向けた動きが継続できる営業組織へと成長しました。
成功のポイント
今回の成功要因は、WEB広告だけに頼らず、市場理解・集客・営業体制づくりを一体で進めたことにあります。
中国ローカル企業向けのBtoB新規開拓では、広告を出せばすぐに成果が出るわけではありません。
市場を理解し、ターゲットを定め、適切なメッセージを届け、獲得したリードを営業が確実に対応することで、はじめて成果につながります。
特に本事例では、日系企業依存から脱却するという経営課題に対して、単なる短期的な問い合わせ獲得ではなく、将来的な市場開拓につながる営業基盤を構築できた点が大きな成果でした。
まとめ
本事例では、日系企業向けビジネスに大きく依存していた生産設備エンジニアリング企業様に対し、中国ローカル企業向けの新規開拓支援を行いました。
市場・競合調査からWEB広告によるリード獲得、営業体制の構築までを一貫して支援した結果、年間120万円の広告費で150件以上の新規リードを獲得。
さらに、これまで把握できていなかった中国ローカル企業のニーズや価格感を社内に蓄積し、新規案件を継続的に獲得できる営業組織への変化を実現しました。
中国市場で日系顧客依存から脱却し、ローカル企業への販路拡大を目指す企業にとって、再現性の高い取り組みとなった事例です。
