越境EC 成功事例|日本企業の参入パターンと再現できる5つのポイント

この記事は約17分で読めます。

越境ECへの参入を検討しているなら、まず「成功した企業が何をしたか」を知ることが最短ルートです。 大手から中小まで、参入パターンと成功要因は驚くほど共通しています。この記事では、日本企業の成功事例を整理し、自社でも再現しやすい要素を具体的に解説します。

「何から手をつければいいかわからない」という経営者さまほど、他社の事例は参考になります。


この記事を読むとわかること

  • 越境ECに参入している日本の大手・有名企業の事例と成功の背景
  • 中小企業が使える成功パターン4類型(ニッチ特化・SNS/KOL起点・単品深堀り・インバウンド連動)
  • 事例に共通する「再現可能な5要因」
  • 失敗事例から学ぶ典型的な落とし穴
  • JUTOUが支援した匿名事例(実績数値つき)

越境ECの世界市場規模は、2024年時点で約1兆USD(約152兆円)規模に達し、年平均20%前後で拡大しているとされます(出典:経済産業省『令和6年度電子商取引に関する市場調査』2025年8月公表、および複数民間調査)。国内市場の成熟・人口減少を背景に、越境ECへの参入を検討する日本企業は年々増加しています。この記事では、すでに成果を上げている企業の取り組みから「自社でも再現できるか」を判断できる材料を提供します。

関連記事: 越境ECとは?基礎から仕組みをわかりやすく解説越境ECの市場規模2026|国別・カテゴリ別最新データ


1. 大手・有名企業の越境EC事例——何が成功の鍵だったのか?

大手企業の越境EC成功に共通するのは「ブランド認知の先行投資」と「現地プラットフォームへの適応」です。自社ECとモール型を組み合わせ、ブランド価値を保ちながら販路を広げているケースが多く見られます。

1-1. ヤーマン(美容機器)

ヤーマン株式会社は、美容家電の中国向け越境ECで国内随一の実績を持つ企業として知られています。中国最大手ECプラットフォーム「天猫国際(ティエンマオグォジー、Tmall Global、以下Tmall)」で毎年11月11日に開催される「独身の日(双十一、ダブルイレブン)」セールにおいて、美容機器部門の販売実績で複数年にわたって上位を獲得。2024年には「美容機器部門1位」(出典:ヤーマン株式会社プレスリリース、2024年11月)を改めて獲得し、グローバルラグジュアリーブランドと肩を並べるTOP20入りも報告されています。

成功の核心は、KOL(キーオピニオンリーダー)と呼ばれる中国の有力インフルエンサーを起用したライブコマースの積極展開です。——日本国内の商品スペックをそのまま訴求するのではなく、中国ユーザーの「美への欲求」に合わせたコンテンツ制作が高い成果につながりました。

1-2. 資生堂グループ

資生堂(SHISEIDO)は、Tmallや自社グローバルサイトを軸に、中国・東南アジア・欧米市場へ展開しています。スキンケアラインは中国市場で根強い支持を持ち、独身の日セールでも毎年上位に入るブランドの一つです。特筆すべきは、ブランドごとにターゲット市場とプラットフォームを分けている点で、プレミアム訴求と大衆訴求を混在させないポートフォリオ管理が功を奏しています。

ただし、2023〜2024年にかけて中国市場では日本製品への逆風もあり、コミュニケーション戦略の見直しを迫られた時期もありました。外部環境の変化への対応力が、長期成功の条件です。

1-3. ファーストリテイリング(ユニクロ)

ユニクロ(UNIQLO)は越境ECというよりも現地出店を主軸にしていますが、グローバルECの売上比率も拡大しています。欧州での前年比33.6%増、北米での前年比24.5%増(出典:ファーストリテイリング2025年8月期決算説明資料)という成長は、商品の品質・デザインの訴求力に加え、グローバル統一されたデジタル体験が支えています。

「価格帯と品質のバランス」をグローバルで一貫させる戦略は、中小企業が参考にしやすいモデルです。とはいえ、規模感・ブランド力を無視した単純な模倣はリスクがあります。

1-4. ビー・フォアード(中古車・中古部品)

ビー・フォアード(BE FORWARD)は、日本国内の中古車・中古部品をアフリカ・東南アジア・中東向けに販売する越境EC企業です。国内越境ECサイトとして長年トップクラスの規模を維持し、第20期(2022年7月〜2023年6月)決算で売上高1,000億円超を初めて達成しました(出典:BE FORWARD公開情報、2023年)。

「日本の中古車は品質が高く割安」という市場ニーズを先読みし、アフリカ・アジア各国の200以上の国・地域に展開したことが成長の基盤です。ニッチな商品カテゴリーでも、世界に顧客を設定すれば大きな市場が生まれる——その証明とも言える事例です。

1-5. 花王・コーセー・ポーラ(コスメ・日用品)

花王、コーセー、ポーラ・オルビスグループなども、中国向け越境ECおよびTmall・JD.com(京東、ジンドン)での展開を強化しています。アリババが実施する独身の日セールでは、毎年これらの日本ブランドが上位にランクインするカテゴリーが複数確認されています(出典:ECのミカタ、独身の日2021年セールレポート)。


2. 中小企業が実践した越境EC——4つの成功パターン

大手のような予算も知名度もなくても、越境ECで成果を出している中小企業には明確なパターンがあります。鍵は「誰もやっていないニッチ」か「熱量の高い消費者層」のどちらかに狙いを定めることです。

中小企業の成功事例を分析すると、以下の4類型に集約されます。

2-1. ニッチ特化型——競合不在の市場を自ら作る

国内では小規模なカテゴリーでも、世界に顧客を広げれば十分な市場規模になります。

事例:伝統工芸・武具の専門店 甲冑・兜を専門に販売するECサイト「SAMURAI STORE」は、Shopifyベースの英語サイトで欧米・オーストラリアのコレクター層に直接販売しています。国内では需要が限られる商品でも、海外のジャパンカルチャーファンには高付加価値品として受け入れられています。日本語圏の競合がほぼいない——これが最大の強みです。

事例:けん玉の専門ブランド GLOKEN(グローケン)は、日本の伝統玩具「けん玉」を海外のストリートスポーツコミュニティへ展開し、英語による情報発信と世界大会開催を組み合わせた越境ECを運営。商品販売と文化普及を一体化させたコンテンツ戦略が、コアなファン層の形成に貢献しています。

2-2. SNS・KOL起点型——コンテンツが先、商品が後

インフルエンサー経由で「ブランド認知→興味→購買」の流れを作る戦略です。

事例:弁当箱・和食器の専門店 フランス人創業者が京都で立ち上げた「BENTO&CO(ベントアンドコー)」は、YouTubeで日本の弁当文化を英語発信し、そのファン層に商品を販売するモデルで成功しました。コンテンツが顧客の「日本文化への共感」を呼び起こし、ECの購買につながっています。日本企業が類似の商品を販売する際にも参考になる事例です。

中国向けの場合は、小紅書(シャオホンシュー、RED)・抖音(ドウイン、Douyin)・微信(ウェイシン、WeChat)のKOLを起用した発信が有効です。フォロワー数万〜数十万規模のミドルKOLが、コスパよく特定ニッチに訴求できる傾向があります。

2-3. 単品深堀り型——1商品で世界に挑む

複数商品を並べるより、1商品の訴求を徹底して深掘りする戦略です。

特徴:

  • SKU(在庫管理単位)を絞ることで、在庫リスクを最小化できます。
  • 商品のストーリー・品質証明・使い方の動画コンテンツを徹底的に整備しやすい。
  • Amazonや楽天グローバルイーグルなど既存モールでの「カテゴリ1位」獲得を目指しやすい。

日本製の包丁・文具・スキンケア単品などが、Amazon.comや独自ECで高評価レビューを積み重ねて成長している事例が多く報告されています。

2-4. インバウンド連動型——訪日客をリピーターに転換する

訪日観光客が「日本で購入した体験」をもとに、帰国後もオンラインで再購入するルートを整備する戦略です。

特徴:

  • 外国語対応の接客→QRコード→越境EC誘導というシンプルな導線が有効です。
  • 口コミ・レビューが現地SNSで自然に拡散するケースが多い。
  • 訪日数が回復した2023〜2025年以降、特に効果が高まっています。

商品力はあるが認知がゼロという企業にとって、インバウンドを「最初のファン獲得チャネル」として活用する発想は有効です。


関連記事: 中国越境EC完全ガイド2026|始め方・プラットフォーム・規制中国KOLマーケティング入門|費用・選び方・活用事例


3. JUTOUが支援した事例——実際に何が起きたか?

JUTOUが実際に支援した案件から、公開可能な範囲で成果を紹介します。いずれも特殊な条件や運が重なった側面はありますが、戦略・実行・モニタリングを丁寧に積み重ねた結果です。効果には条件により変動があります。

3-1. スキンケア・コスメの百貨店ブランドさま

国内百貨店でのブランド展開を主軸にしていたスキンケア・コスメブランドさまのケースです。百貨店チャネルに依存した販路の限界を感じ、中国向け越境ECへの参入を検討していました。JUTOUが市場調査・プラットフォーム選定・KOL選定・コンテンツ制作を一貫支援し、支援開始2ヶ月で2,000万円の受注を達成しました。

ブランドの世界観を損なわないクリエイティブの質と、適切なKOL選定が成果の要因でした。

3-2. スポーツウェア通販(Shopifyベース)

Shopifyで国内展開していたスポーツウェアブランドさまです。海外からの問い合わせが散発的に来ていたものの、受け皿となる仕組みがなく機会損失が続いていました。越境EC用のサイト多言語化・決済最適化・SNS広告の整備を支援し、3ヶ月で月商10倍を達成しました。

3-3. 機械部品メーカー(自動車部品系BtoB)

国内販売を主体とする機械部品メーカーさまが、中国の自動車関連企業へのBtoB営業チャネル開拓を目指したケースです。WeChat(微信)公式アカウントを軸にしたコンテンツマーケティング施策を展開し、年間リードを0件から480件に拡大(2022〜2023年実績。効果は条件により変動します)。

「展示会頼み」だった新規開拓に、デジタルチャネルを加えることで営業効率が大きく改善しました。


4. 成功事例に共通する5要因——何が再現可能なのか?

大手・中小を問わず、越境ECの成功事例を分析すると5つの共通要因が浮かび上がります。これらは規模や業種に関わらず、多くの企業で再現可能な要素です。

以下の表に整理します。

要因 内容 失敗時の典型
① 市場・顧客の先行理解 参入国の文化・消費動向・競合状況を事前に調査 国内成功策をそのまま海外適用→ミスマッチ
② 現地プラットフォームへの適応 対象市場で使われているECモール・SNSを使う 自社ECのみ→集客コスト膨大
③ コンテンツ・ブランド投資 現地語のコンテンツ・レビュー獲得・KOL活用 翻訳のみ→信頼感が生まれない
④ 物流・CS体制の整備 追跡可能配送・現地語カスタマーサポート 「届かない」「返答がない」でレビュー炎上
⑤ PDCAの高速化 価格・コンテンツ・広告を定期検証・改善 初期設定のまま放置→競合に埋没

4-1. 市場・顧客の先行理解

「日本製だから海外でも売れる」という前提は危険です。同じ商品でも、国ごとに価値の感じ方・価格感度・購買動機が異なります。競合分析・顧客ヒアリング・現地トレンドの確認を先に行うことが、無駄な投資を避ける最短ルートです。

4-2. 現地プラットフォームへの適応

中国向けにはTmall・JD.com・小紅書・Douyin、東南アジアにはShopee(ショッピー)・Lazada(ラザダ)、北米にはAmazon.com・自社Shopifyサイト——市場によって最適なチャネルは異なります。プラットフォームのルール・手数料・集客構造を理解した上で戦略を組みます。

4-3. コンテンツ・ブランド投資

商品画像・説明文・レビューの質が購買率に直結します。とはいえ、初期から作り込みすぎる必要はありません。まず「最低限伝わるレベル」を整備し、データを見ながら改善するサイクルを回すほうが現実的です。KOLや現地インフルエンサーとの協業は、短期間での認知拡大に有効なケースが多い傾向があります。

4-4. 物流・CS体制の整備

越境ECで最もクレームが発生しやすいのが配送と顧客対応です。「商品が届かない」「壊れていた」「問い合わせに返答がない」は、プラットフォームの評価を直撃します。追跡番号付き配送・保険の付帯・現地語での返信テンプレート整備は、参入前に完結させるべき基盤です。

4-5. PDCAの高速化

越境ECは参入して終わりではありません。競合の価格変動・プラットフォームのアルゴリズム変化・消費者トレンドの移り変わりに合わせて、定期的な見直しが欠かせません。月次でKPI(売上・CVR・広告ROAS等)をモニタリングし、改善アクションを具体化する体制があるかどうかで、1年後の結果は大きく変わります。


5. 越境EC参入企業の比較——プラットフォーム×商品カテゴリ別傾向

どの市場・プラットフォームが自社の商品カテゴリに適しているかは、参入前の最重要判断です。以下の整理を参考に、まず1市場・1チャネルから絞り込むことを推奨します。

商品カテゴリ 主要ターゲット市場 有力プラットフォーム 成功企業の傾向
スキンケア・コスメ 中国・東南アジア Tmall Global、小紅書、Shopee KOL活用・独身の日等セール対応
美容家電 中国・台湾・韓国 Tmall、JD.com ライブコマース・比較コンテンツ
アパレル・ファッション 北米・欧州・東南アジア Amazon、Shopify自社EC、Shopee ブランドストーリー・サイズガイド完備
食品・調味料 北米・欧州・香港 Amazon、自社EC 日本食文化への訴求・安全証明
伝統工芸・ニッチ雑貨 北米・欧州 自社Shopify、Etsy コンテンツマーケティング・コレクター訴求
機械部品・BtoB 中国・東南アジア WeChat、自社サイト コンテンツ×リード獲得型

商品カテゴリーと市場が決まれば、プラットフォーム選定の方向性はある程度絞られます。逆に「とりあえず全部やる」戦略は、リソースが分散して成果が出にくい典型的な失敗パターンです。


関連記事: 越境ECの始め方2026年版|ステップ別ガイド越境EC運営代行20選|費用・サービス比較


6. 失敗事例から学ぶ——繰り返されるパターンとその対策

越境ECの失敗には「繰り返されるパターン」があります。知っているだけで回避できるものも多く、参入前に一度確認することを推奨します。

6-1. 「国内で売れているから海外でも売れる」思い込み

国内で実績のある商品が、そのまま海外でも売れるとは限りません。価格帯・デザイン・用途の概念が市場ごとに異なります。ある日本ブランドが、国内で人気のデザインをそのまま輸出したところ、現地では色が縁起の悪い意味を持ち、クレームにつながったケースがあります。現地の文化・宗教・カラーコードの確認は基本です。

6-2. 物流の甘い見積もりによるクレーム多発

関税・輸出規制・配送日数の見通しが甘く、「注文したのに2ヶ月届かない」「税関で止められた」というクレームが発生するケースは少なくありません。特に、食品・医薬品・電気製品には輸出規制や認証要件が存在する国が多く、事前の法規制調査は必須です。

6-3. 価格設定の失敗——輸送費・関税を加味しない

国内販売価格に送料と関税を上乗せしただけの「積み上げ価格」は、現地競合と比べて高すぎるか、あるいは利益が出ない水準になりがちです。現地競合の価格帯・消費者の価格感度を先に調べ、逆算で価格を設計します。

6-4. 多言語対応の不備

英語サイトを機械翻訳で作成し「多言語対応済み」とするケースは珍しくありません。しかし、ネイティブが読んで違和感のある文章はブランドの信頼を損ないます。最低限、メインターゲット言語のネイティブチェックを経ることを推奨します。

6-5. 継続できる運用体制の欠如

「担当者1人がすべてを担当→退職→ノウハウが消える」というケースが、中小企業の越境ECでは頻繁に起きます。越境ECは参入後の継続的な運用が成否を決めるため、社内体制の設計と外部パートナーとの役割分担を明確にしておくことが肝心です。


7. まとめ:JUTOUが提供する越境EC支援

成功事例から再現できる要素を正しく理解し、自社の状況に合わせて実行できるか——それが越境EC成否を分ける最大のポイントです。JUTOUでは、調査から実行・継続運用まで一貫してサポートします。

JUTOUの3つの強み

① 中国・東南アジア・中東の現地ネットワーク 2018年の創業以来、中国のWeChat/Tmall/小紅書をはじめ、東南アジア・中東の主要チャネルに精通したパートナーネットワークを構築しています。現地語でのKOL交渉・コンテンツ制作・広告運用まで一気通貫で対応できます。

② 戦略設計から実行・モニタリングまでの伴走型支援 市場調査・プラットフォーム選定・サイト構築・広告運用・CS体制設計まで、ワンストップで支援します。「外部委託して終わり」ではなく、月次KPIレビューと改善提案を継続するのがJUTOUのスタイルです。

③ BtoC・BtoB両対応 スキンケア・アパレル・食品などのBtoC商材から、機械部品・産業材などのBtoB案件まで幅広く対応しています。中国向けWeChat活用によるBtoBリード獲得の実績もあります。

料金例: 月額30万円台〜のプランから対応しています(内容・規模により変動。詳細はご相談ください)。初回相談は無料です。

越境ECへの参入を「いつか」と考えていた経営者さまも、一度話を聞いてみてください。——背中を押す必要はありませんが、「自社でどのくらい現実的か」を確認するだけでも価値があります。

▶ 30分の無料相談で確認できること

  • 自社商品・サービスが越境ECに適した市場・チャネルはどこか
  • 競合状況と参入の優位性・リスクの概観
  • 現実的な初期コスト感とROIの試算方法

▶ 無料相談を申し込む(24時間受付)


関連記事


本記事について

  • 著者: 辻雄多郎(JUTOU株式会社 代表取締役)
  • 著者プロフィール: 中国・東南アジア・中東の越境EC・インバウンドマーケティング支援に従事。2018年創業以来、累計150社超の日本企業の海外進出を支援。プロフィール詳細
  • 公開日: 2026年6月11日
  • 最終更新: 2026年6月11日
  • カテゴリ: 越境EC
  • 情報の正確性: 本記事の事例・数値は公開情報・公式プレスリリースを出典とし、確認できない固有数値は掲載していません。最新情報は各社公式情報をご確認ください。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
海外マーケ大学カテゴリー
事例カテゴリー
事例月別アーカイブ